カイゼンの倫理

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

カイゼンといえば、トヨタが一躍有名にした生産方式で、徹底的に無駄を省く生産プロセスのことです。今では海外でも「Kaizen」として通用することもあるようです。

 

この業界でも、業務効率化をカイゼンとして取り組む農場もあるようです。というより、ほとんどの農場でカイゼンは日々行われているでしょう。

 

農場内でのカイゼンは大いにすべきですが、外部の取引先に対して、カイゼンを要求するのはどうでしょうか。顧客として、取引先にサービス向上を要求するのは当然でしょう。しかし、度を越えた要求は恨み・辛みを買うだけになる可能性があります。自らが管理できる部分についてカイゼンするのは大いに結構ですが、外部に対して、過剰にカイゼンを要求するのは、ある程度自制する必要があるかもしれません。

 

たとえばAmazonヤマト運輸に対してカイゼンを求めるということは、すなわち圧倒的に強い立場の顧客が取引先にサービス向上を求めるということです。お互いが共存できるように協力しあうことも重要でしょう。カイゼンの論理は社内に適用すべきであり、社外にはカイゼンの倫理で対応するやさしさがあってもいいと思います。

 

黒木

儲けどころ

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚農家の収入源は豚を出荷することで得られます。豚に飼料を与え、大きくして出荷して収入を得ます。しかし、それ以外にもさまざまな収入が可能です。肉の販売やレストランなどを除いてもさまざまな収入の手段があります。

 

たとえば講演会の講師の依頼を受ければ、謝礼が発生します。獣医師や生産農家含め、講演料がなかなかの収入源になっている方もいるでしょう。ほかに、雑誌など各種媒体での原稿料などもあります。さらに、本を出版すれば、印税収入も入ります。ブログなども、人気が出ればいい広告収入になりそうです。

 

農場を研修施設として提供した場合、研修費用という形の収入源もあるでしょう。養豚関連産業の新人や大学生の実習、製薬会社や飼料メーカーなどの研修施設として、機能するケースもあります。研修用のビデオ撮影会場として養豚場を提供できれば、これも収入源になるでしょう。

 

今後は、農泊のような、観光+体験+宿泊のような組み合わせもでてくるかもしれません。日本人のみならず、外国人が日本の田舎にステイして、養豚場の作業体験をするファームステイもありえます。夜は当然豚シャブや豚カツなどの豚料理を中心に、田舎の特産物なども提供されるでしょう。農泊などは、大手農場よりも庭先養豚のほうが都合がよさそうです。

 

生産農家にとって豚を出荷することが収入のメインとしても、儲けどころは一つではありません。いろいろなビジネスチャンスがあります。豚価が大幅に下がる時代がきても、上記のような副収入がある養豚場は生き残っていけそうです。その場合、養豚場は生産農場というよりも、実験農場という位置づけになるかもしれません。

 

 

黒木

休むことも仕事のうち

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

生き物を扱っている養豚業界では、なかなか連続した休みを取ることは難しそうです。1週間ぐらいの連続休暇を申請すれば、罪悪感すら覚えるかもしれません。

 

しかし、連続休暇を取ることは、非常に大事だと思います。自分がとることによりこれから続く後輩も、有給休暇を取りやすくなります。1週間の連続休暇を取り、国内や海外への旅行、実家への帰省など、いろいろと実現できるでしょう。何もしなくてもいいでしょう。この養豚場では連続休暇が取れるという事実が重要なのです。

 

休むことも仕事のうちです。しっかり休める職場であることは、アピールポイントになります。長期休暇を取得し、リフレッシュすることは本人のためでもあり、後続のためでもあります。

 

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人口知能は営業マンを駆逐するか

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

AIといえば、この業界では人工授精ですが、一般には人工知能を指すでしょう。人口知能の進歩により、消える職業などもでてくると予測されています。次に引用するのは、ネットから引っ張ってきたアメリカで消える可能性のある職業上位10位です。

 

  1. 小売店販売員
  2. 会計士
  3. 一番事務員 (一般事務員?)
  4. セールスマン
  5. 一般秘書
  6. 飲食カウンター接客係
  7. 商店レジ打ち係や切符販売員
  8. 箱詰め積み降ろしなどの作業員
  9. 帳簿係などの金融取引記録保全
  10. 大型トラック・ローリー車の運転手

 

この業界的に関連するのは、4位のセールスマンや、10位の大型トラック運転手あたりです。営業マンからWEBでの販売に移行するのか、ペッパー君のようなロボットが営業マンになるのでしょうか。

 

営業マンがすべてペッパー君に置き換わる可能性は非常に低いと私は考えています。売るだけなら、インターネットでの無人販売や、ロボット販売でも構わないでしょう。しかし、営業マンの仕事の半分はセールスですが、半分はクレーム処理的な仕事があると思っています。商品を扱っている限り、不具合はほぼ間違いなく発生するでしょう。そのときにペッパー君が謝れば、逆に顧客の怒りを買うような気がします。問題が起こった時に顧客が望んでいるのは補償であったり、謝罪でもあるでしょうが、根本的には「自分の気持ちを理解してほしい」ということに尽きるのではないでしょうか。しかし、ペッパー君がどんなに誠心誠意謝っても、受け取る側にとって、ロボットが自分の気持ちを理解している、と感じることは至難の業のように思います。

 

もしかするといずれロボットが謝罪することが普通の社会が来るのかもしれません。しかし、それが近未来のこととは思えないし、私自身は不快です。

 

黒木

販売代理店は顧客か

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

メーカーが末端顧客への販売業務を代理店に委託するとき、メーカーにとって代理店は顧客でしょうか、ビジネスパートナーでしょうか。

 

販売代理店を顧客とみなす人もいます。代理店が顧客かどうかは、代理店の末端顧客への力関係で決まるように思います。末端顧客への影響力が強く、メーカーが代理店にのみ営業活動をかければ取引が成立する場合、代理店は顧客そのものといっていいでしょう。逆に、代理店にそこまでの力がないとき、代理店は顧客であるとは考えないほうがメーカーと代理店の関係性をよく理解できるように思います。代理店の管理さえしていれば、末端の顧客を管理する必要はないのであれば、話は単純です。しかし、現実的にはメーカーが末端顧客に介入するケースが多いでしょう。その意味では、代理店は顧客ではなく、ビジネスパートナーと考えた方がわかりやすいです。

 

卸のことを、かつて特約店という呼び名で呼んでいた時代もあります。これはある特定のメーカーの製品を扱う卸を指しており、家電でいうとPanasonicの販売店のようなものです。Panasonicの製品のみを扱う卸ですが、このような特約店はこの業界にはほぼ存在しないでしょう。あらゆるメーカーの製品を扱うのが現在の卸問屋です。

 

このように考えてくると、卸(販売代理店)というのは、メーカーにとって顧客とは言いづらいし、特約店でもないということになります。やはりビジネスパートナーと考えるのが妥当であり、製品決定権を持つ顧客とは異なります。メーカーと卸問屋の関係は、健全にけん制しあうのが妥当でしょう。メーカーもメーカー間で競争しあい、卸も卸間で競争しあう。結果として、末端顧客にベストな製品を、納得いく価格で提供できているように思います。

 

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365分の1のために

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

この業界にはさまざまな営業マンが出入りします。用事のあるときもあればそうでもないときもあります。仮に10回訪問があったとして、本当に重要な訪問は1回ぐらいではないでしょうか。月に1回程度訪問するなら、12か月に1回の計算、延べ日数では365日分の1日の確率になります。では残りの364日に訪問する必要はないでしょうか。

 

本当に重要な訪問、ビッグチャンスというのは非常に限定的なものです。ほとんどは空振りでしょう。では何のために364日準備をし、訪問を重ねるのか。その理由はチャンスがいつ来るのかわからないから、だと思います。大したことのない製品でも、ある時点でものすごく必要とされる瞬間があります。たとえば急な疾病があった時、適切な薬剤を提案できれば、たとえ古い製品であっても売れる可能性があります。しかし、普段訪問や準備していないと、このタイミングが読めないものです。ですので、空振りの訪問を続ける理由があるのでしょう。

 

営業、特にルート営業は、椅子取りゲームをしているようなものです。座るタイミングがいつ来るかわからないので、とりあえずグルグル回って、ウォームアップをし続ける。座るというチャンスが来た時に座るためには、空振りし続けなければなりません。とはいえ、365分の364日はリラックスして、脱力してもかまわないでしょう。いつも全力でいたら本人も疲れるでしょうし、聞いてる方も疲れます。365分の1に100%の力を発揮できるのが、優れた営業マンだと思います。

 

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耐性菌はなぜ出してはいけないのか

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

薬剤耐性菌の問題が養豚場でもクローズアップされてきました。サイクリン系やコリスチンなど、要注意抗生剤として、ピックアップされてきています。なぜ今耐性菌が話題になっているのでしょうか。

 

養豚場で使っている抗生剤の効きが悪くなるから、、ということも理由ですが、より大きな理由は、人間の薬に耐性菌ができるからです。細菌をやっつける抗生剤は、基本的に人間の薬も動物の薬も同じようなラインナップになります。というより、巨大なマーケットである人体薬の技術を動物薬に応用しているという理解のほうが正しいでしょう。したがって、動物薬の分野である抗生剤に対して耐性菌ができると、同じタイプの抗生剤である人体薬の効きがわるくなるからです。

 

特に養豚産業は抗生剤を多く使用しているといわれています。抗生剤の適正使用は今後も厳しく監視されていくでしょう。中途半端に抗生剤を使うことがもっともよくないといわれます。必要な抗生剤は使うべきですが、薄くダラダラ使うような使い方はもっとも耐性菌を生みやすく、避けるべきです。

 

養豚産業は人間の生命と深く関連しています。

 

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