後継者をどこに修行に出すか。

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

何年か前から、養豚業界は徐々に代替わりを迎えています。親父さんの世代から息子世代へとシフトしつつあります。すぐに実家を継ぐこともありますが、他の養豚場や他業種で仕事をしたうえで、家業を継ぐことも多いようです。大きく次の3パターンに分けてみます。

 

  1. もっともスタンダードなのは、他の養豚場で修行するケースでしょう。家族養豚規模の養豚場の息子が大規模農場で修行する(ついでに嫁を見つけるケースもあるようです)。自農場との比較もでき、業界のネットワークもできるので、この手の話はよく聞きます。
  2. 次に、肉屋やパッカー、飲食店などの近接業界に修行に出るケースもあると思います。豚の出荷先やエンドユーザーに近い職場での修業は、これも将来大きな資産になると思います。どのような肉が消費者に好まれるのか、どのような肉が高く売れるのか、自分の顧客を知るのは非常に大切だと思います。
  3. 最後に、まったく違う職種で働くケースもあります。たとえば、IT関連、商社、一般消費財メーカーなどなど。獣医の資格を持っている場合であれば、養豚専門獣医など資格を生かした職に就くケースもあるでしょう。他の業界を知ることで、養豚業界のおかれている状況を客観的にみれる、また違った発想で養豚業を切り盛りしていくことも可能と思われます。

 

どこでも学ぶ環境はあるし、どこにいっても正解、不正解はその人自身が結論を出すべきでしょう。ここからは個人的な意見ですが、もし私が息子を修行に出す状況にあれば、おそらく②を選ぶと思います。自分の顧客を知ることで、よりユーザーが好む肉を生産できる可能性が高まります。消費者が食べたがる肉を作ること、パッカーが売りやすい肉を作ること、より有利な販売条件を引き出すには、常に顧客ニーズを追いかける必要があるでしょう。次に作業する人が作業しやすいように整えて渡すこと、それがあらゆる仕事に共通する姿勢でしょう。それをもっとも身近に感じられる環境、それが②のように思います。

 

黒木