無借金経営と借金経営

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚産業は基本設備産業で、新たに豚舎を建てるとなった場合、数億円~の投資になります。これを自己資金ですべて賄える経営者は少ないでしょう。

資金調達に関してはほとんどの経営者が借金経営でしょうが、一部無借金経営の方もいます。無借金でできればメリットは非常に大きい。利息も発生せず、面倒な事務手続きや審査等がない。。だからといって、自己資金の少ない人が自己資金が積みあがるまで待っていれば、事業推進スピードが遅くなる可能性があります。ですので、通常、経営者は借金で資金を調達します。借金のメリットは、自己資金レバレッジを効かせて(小さな雪だるまでなく、大きな雪だるまで)、スピーディに事業を推進できること。では潤沢な資金がある場合、無借金経営と借金経営、どちらがいいでしょうか。

 

私自身は無借金経営<借金経営という考えです。

仮に十分な自己資金があり、すべて自己資金で設備投資をまかなえたとしても、私は金融機関からの借入金を利用すると思います。その理由は、①何かあったときのために、手元に資金を置いておきたいということ、②金融機関の審査を経ることで、事業の健全性を第三者にチェックしてほしいからです。①は資金繰りの話でそのままの内容です。②についてですが、養豚経営者は得てしてワンマンな方が多いと思います。個人事業主として、ワンマンぐらいの気持ちの強さが必要だとは思いますが、どうしても独善的になりがちです。なので、自身の経営指針を冷静に算定してくれる第三者機関があったほうがいいと思うからです(ただし、銀行は銀行のロジックで金を貸すので、完全に客観的な判断とは思っていません)。借金によって利息は発生しますが、それは手数料として許容できます。

 

事務手続きが面倒ということは、言い換えれば、多くの人のチェックが入るということ。一人の考えで進めるより、リスクヘッジができるでしょう。ワンマン経営はスピーディだが、リスクが大きい、他方、いろいろな人の判断が絡めば、スピードは遅くなるが、リスクヘッジできる。金融機関が絡めば、決済にいたる過程で、行員~支店長まで、あるいはそれより上まで、求められるハンコの数があるでしょう。いくつものハンコが必要ということは、多くの人の目にさらされるということ。一見、非効率な金融機関のロジックは、独善的な方が多い(かもしれない)養豚経営者にとって、案外、いい相性のような気がします。

 

黒木