養豚産業の出口戦略

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

出口戦略という言葉があります。もとは軍事用語で、軍隊の損害を最小限にとどめて戦線から撤退するための作戦のこと。転じて、企業が損害の少ないうちに規模を縮小または撤退するための方策を指すそうです。

 

養豚産業も企業であるので、当然ゴーイングコンサーン、すなわち事業を半永久的に継続していくことが目的でしょう。しかし、さまざまな事情によって“卒業”という局面を迎えることもあります。理由としては、倒産、後継者不在、高齢化、十分稼いだので撤退、近隣からのにおいの苦情などなど。十分な売却期間をとって、いい価格で農場を買い取ってもらえればありがたいのですが、売却側と購入側が納得いく価格で折り合いがつくのはなかなか難しいだろうと想像します。

 

他の産業同様、養豚産業もインカムゲインが中心です。インカムゲインとは日々の事業(養豚の生産)によって得られる収入。これに対し、キャピタルゲインとは農場の売却益によって得られる収入のこと。インカムゲインについてはいろいろ知恵を絞って、対処されているでしょうが、キャピタルゲインはおそらく一生で一回しかないでしょうから、ほとんどの方が素人になるでしょう。いざ売却となったとき、誰に相談すべきか、できるだけ高く購入してもらうにはどうすればいいか、わからないことだらけの可能性があります。養豚経営者は経営のプロであっても、売却のプロではないのですから。

 

これからの養豚経営においては、経営(インカムゲイン)だけでなく、売却(キャピタルゲイン)も視野に入れた経営観が大事だと思います。そのためには、いろいろな情報を仕入れておくこと、さまざまな人脈を培っておくこと、いざ売るとなった時のシュミレーションを十分に仕込んでおくことが必要でしょう。経営のプロであり、売却(場合によっては買収)のプロであること、これからの養豚経営に必要な観点と考えています。

 

黒木