場長の仕事(抽象化と具象化)

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場の仕事は肉体労働がメインです。身体を使って作業をすることがまず第一の仕事でしょう。

 

では、場長の仕事は何か。一つには作業があります。やはり実際に作業すること、これが第一の仕事でしょう。さらに、スタッフの管理もその仕事です。管理職ですね。しかしながら、本当に大事な仕事、それは作業の意味を与えるという頭脳労働だと考えています。

 

何のためにエサをやるのか、掃除や消毒をする理由は?従業員であればお金をもらうためと答えるかもしれません。それも間違いではないですが、それだけではないということを示す必要があると思います。一日に何度もエサをやることを通じて、豚を観察すること、調子の悪い豚がいないか確認すること、それこそがエサやりのもう一つの意味です。糞かきをすることで、豚のお腹の具合を探ること、消毒をすることで、疾病の予防をすること。一つ一つの作業には意味があります。それを示すことこそ場長の仕事でないでしょうか。

 

養豚場の仕事はお金を稼ぐという側面がもちろん第一です。しかし、本当の目的はいい豚をつくることだと思います。スタッフは目の前の作業に追われ、大きな目的を忘れることもあるかもしれません。その時に、より大きな方向性を示すのが場長の仕事です。作業という具体的なことを、意味という抽象レベルに変換すること、あるいは逆に、いい豚をつくるという抽象的な目的を、具象的な現場の作業に落とし込むこと、この2つの間で行ったり来たりするのが場長という仕事と感じています。

 

黒木