経営者と獣医師の距離感

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

最近は獣医師を活用する養豚場がやや多くなったように感じます。これまでの指示書をもらう獣医師のみならず、コンサルを依頼する獣医師の活用です。二人三脚で農場成績安定化を試み、成功されている農場も多いでしょう。

 

ただ、ベテラン獣医とジュニア世代の次期社長候補との組み合わせの場合、主導権を獣医に握られるケースもあるという話を聞いたことがあります。父親世代の獣医と30歳程度の次期経営者では、いろいろな意味で獣医から教わることも多いでしょう。しかしながら、経営者たるもの、外部協力者に自社の経営判断を委ねることはすべきでないでしょう。自分で判断するのが経営者であるのだし、たとえどれだけ素晴らしい「先生」であっても、自分の養豚場を守れるのは自分だけです。

 

マンションの管理会社が、積立金を使い込み逃亡や倒産などという話もあります。プロに任せるられるのは業務であって、経営ではありません。マンションを管理するのは管理会社ですが、管理会社を管理するのは、住人という経営者しかいないのです。獣医師との契約による費用対効果はどの程度か、給与は適正か、従業員の満足度はどの程度か、すべてを判断するのは養豚場の経営者しかいません。経営をアウトソーシングするとき、それは養豚場をたたむときと認識すべきかもしれません。

 

銀行との交渉、資金繰りの計画書、補助金の申請、雇用の確保や人材募集、地域住民との関係構築、出入り業者との関係づくり、どれもこれも経営者にしかできない事業です。獣医の高度な知識に敬意を払うことは大事だと思いますが、同じように、あるいはそれ以上に、経営者の経験や失敗体験も敬意を払われるべきことだと思います。

 

 

黒木