メーカーによる薬品の直売

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚業界では、基本的に医薬品メーカーの直売・直送は行われておらず、メーカー→卸→生産者という流通ルートになります。卸が介在するということは、手数料が発生しています。当然、卸が介在しないほうが、薬品は安くなります。

 

では、メーカーはなぜ卸を介在させるのか。代表的な理由は次のようなものです。

 

  1. 配送業務
  2. 在庫管理
  3. 債権回収代行

 

まず1の配送業務ですが、これは宅配業者に頼めば済む話です。消毒の徹底など、配送業務に気を使っているという医薬品専門業者ならではのメリットもありますが、特に医薬品卸でなければならない必然性は薄いでしょう。

 

次に2の在庫管理です。必要なものが現地に在庫されており、注文にすぐに応えられるという利点があります。しかしながら、この業界ではすぐにあれこれの薬品がほしいなどということはそれほど多くないでしょう。計画的に発注する農場が多いので、多めに薬品を在庫している卸のほうが少ないようです。、また、最近では、必要最低限しか在庫をもたない卸も多いですね。在庫ロスを防ぐにはいいのですが、一方で、メーカーによる欠品のさい、卸に在庫がないということは、すぐに欠品になってしまうことになり、生産者に不便をかけることになります。

 

メーカーが卸に業務委託する最大の理由は3の債権回収でしょう。メーカーには債権回収機能がありません。規模の小さな農家の債権を回収するだけの体力がないのです。したがって、この点が最大の理由になります。しかしながら、この問題はクレジット決済機能を導入すれば済む問題です。このことは以前から周知の事実でした。商品購入と同時に決済を行う、他の業界では当たり前のことを実施すればいいだけです。ただ、この業界では後払い方式が採用されているため、商品送付が先で、代金回収が後という慣習になっており、クレジット決済が導入されてこなかっただけなのです。

今後この業界でも、クレジット決済によるメーカー直売が導入される可能性が高いでしょう。その時、生産者は薬品の値引きというメリットを享受できる可能性があります。その分、資金繰りには細心の注意を払う必要があるのは当然ですが、それでも薬剤コストの低下というメリットは魅力的でしょう。

業界が大きく変わるかもしれません。

 

黒木