PRRSとの距離感

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場の疾病の中で、ずっと問題になっている疾病の一つは、PRRSでしょう。豚繁殖・呼吸障害症候群(Porcine reproductive and respiratory syndrome:PRRS)といわれ、主に繁殖障害や肥育での呼吸器障害(ヘコヘコ病)が症状です。しかし、最大の問題は、疾病と戦うマクロファージという免役機関をダメにし、他の疾病との複合感染を誘発する病気のもとになる点でしょう。

 

この病ついてはさまざまな獣医や研究機関が研究しており、未だに解明されない部分も多い疾病です。株が変異するという特徴を持ち、対策が難しい疾病の一つです。

 

PRRS対策としては、馴致をしたり、ワクチンを母豚や子豚に使用したり、しっかり消毒する、バイオセキュリティを強化するなどさまざまありますが、これさえしておけばという方法が現時点で確率していないようです。

 

現時点でできる上記の様々な対策も重要ですが、あまり神経質にならないことも必要かもしれません。PRRS陰性化を実現したとしても、バイオセキュリティなどに投資しすぎて、倒産したのでは本末転倒です。PRRSは陰性になっても、また何かのきっかけで陽性になることもあるようです。PRRS陰性化が農場の目的でなく、儲けを出すことが養豚場の目的だと思います。

 

PRRS対策のためには、むしろ他の疾病対策のほうが先かもしれません。サーコやマイコは各メーカーからワクチンがでており、一定の効果を期待できるようです。複合感染のもとになるこれらの免疫疾患系の疾病をコントロールすることで、PRRSの動きをコントロールできれば、まずは第一段階の対策として有効でしょう。

 

PRRS対策そのものも重要ですが、同時にPRRS以外の疾病をコントロールすることも有効だと思われます。

 

 

黒木