なぜ県の施設で豚コレラが発生するのか

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

岐阜県で発生した豚コレラ3例目が発生しました。岐阜県の研究機関である畜産研究所で発生したことから、防疫に十分取り組んでいるはずの県の研究機関で発症したことは誠に申し訳ない」とのコメントが知事からありました。

 

県の研究機関がしっかりとした防疫体制を整えているはずだ、というのは思い込みかもしれません。公共の施設は、防疫という側面では構造的弱点を持っている可能性があります。それは、公共の施設はどのような来訪者も原則、拒否することができないという点です。これが民間企業であれば、出入りの業者の来場を制限したり、外部の喫茶店で面談するなどの策も取れますが、公的機関は、誰にも開かれているべきなので、そのような制限をかけるのが難しいと推測されます。どこから来たかなどを記帳させることはできるし、消毒をさせることはできます。しかし、来訪を拒否することは難しいと思われます。

結果として、様々な人が行きかい、防疫リスクが高まります。多くの人が行き来するのは、本来、公共機関としてはいいことですが、こと伝染病に対しては、逆のような気がします。

 

伝染病が流行っているときは、来場者の来訪を制限することも必要かもしれません。もし、公共の施設でそのようなことができないなら、別組織に委託するなどして、分離することはどうでしょう。情報についてはオープンに、生産や研究の現場についてはクローズドに、分離するのです。

 

今回の件は、単純に防疫体制がしっかりしていなかったからと総括されるかもしれません。しかし、公的機関には、構造的な弱さがあるように思います。公共の施設に防疫を期待するなら、まずはオープンにするべき点と、クローズドにすべき点をわけるべきでしょう。情報についてはできるだけオープンに、生産についてはクローズドにしてはどうでしょう。

 

 

黒木