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PEDワクチンの開発はされないのか。

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

PED(豚流行性下痢)は多少落ち着いてきた感はありますが、まだ治まっていない農場もあるかと思います。現時点では国内で2社からワクチンが発売されているが、その評価についてはさまざまです。近年の傑作ワクチンとしてサーコワクチンがありますが、あれほどの劇的な効果があるかどうか。

 

PEDは、主に生後間もない哺乳豚の下痢による脱水症状であり、死に至ります。この病気は数多ある疾病の中でも特殊なポジションにあります。教科書的には知っているが、発生頻度は高くないため、実際に発生経験は少ない。ワクチンはあるが、ワクチンだけで済むような疾病ではない。消毒は逆性石鹸でも効果があるといわれているが、その爆発的な伝染力としぶとさは、消毒だけで対処できる疾病でない。。

 

近年製薬業界は劇的な傑作製品を世に送り出してきたと思います。特に、サーコワクチンやバイコックスなどは最たるものでしょう。サーコやマイコのような慢性疾患は、製薬業界にとっても中心的な製品です。他方、PEDやTGEのような伝染病系は、発生頻度の少なさを考慮するとあまり儲からないジャンルかもしれません。発生頻度の少ない疾病のために、高価なワクチンを使用する農場は多くはないでしょう。販売数量が少なければ、開発費用の回収も難しいかもしれません。

 

しかしながら、私はぜひPEDワクチンの開発を多くのメーカーに期待したいと思います。発生頻度が少なくても、その被害が重篤であるPEDのような疾病のための薬は、世の中に必要とされるものです。東日本大震災の悲劇で明らかになったのは、確率論のとらえ方の不備だと思います。津波が起こる確率は0.00..1%だから、考える必要がないというのは、無責任な姿勢ではないでしょうか。著しく低い発生確率であっても、ひとたび発生したら重大な被害になる、そのような事態のために対策を考える必要があります。

 

売れる薬を開発し、開発費用を回収しなければ、さらなる新製品の開発が困難になります。しかし、売れるワクチンも大事ですが、いざというときに必要なワクチンも同じくらい大事だと思います。利潤を追求する製薬メーカーには難しい選択だとは思いますが、PEDワクチンの開発に期待します。

 

黒木