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PED対策ができる組織、できない組織

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

PED(豚流行性下痢)が日本で大流行してから2年が経ちました。早くに収まった農場もあれば、なかなか収まらなかった農場もありました。病気としてのPEDの特徴や、侵入経路、その対策についてなどはこれまでにも議論されてきましたが、ここでは別の視点、PEDを早くに駆逐できた農場とそうでなかった農場について考えてみます。

 

異論など大いにあるかと思いますが、私が見ている限りでは、小さな農場では比較的収拾が早かったように思います。若齢期の子豚が脱水症状により死ぬため、空白期間、子豚が少ない期間がどうしてもできますが、この期間をすぎれば、比較的回復が早かったように思います。もちろんワクチンなど各種対策は取っていました。

 

これに対し大規模農場の中には、収拾が遅かったところもあったようです。小規模農場と違って、オールアウトできる環境でない農場もあるでしょうが、ここでは組織形態の違いを検討してみます。

 

大規模農場ではえてして、縦割りの組織が多いでしょう。第一農場、第二農場、第三農場、、。それぞれに場長がいて、疾病コントロールの権限を持って活動する状況です。通常業務であれば、このような体育会系縦割り組織は十分機能するでしょうが、PEDのような伝染病の場合にも十分に機能したでしょうか。権限が各農場に委譲されているため、対策も各農場に任せられるケースもあるでしょう。しかしその場合、疾病コントロールが機能しないばかりか、他農場に拡散するケースもあったかもしれません。伝染病の拡散スピードは尋常ではありません。ここは農場ごとに縦割りで動くより、(小規模農場のように)組織横断的なトップダウンで動くほうが効率がいいでしょう。

 

縦割り組織は人間の都合です。しかし、疾病は人間の都合に関係なく浸潤します。縦割り組織は対人間には機能しますが、対疾病には機能しません。疾病はどの豚にも感染する可能性があるのです。各農場に権限を持たせる大規模農場の組織形態は平時には機能しますが、伝染病ブレイク時などではかえって足を引っ張る可能性があります。組織内でゴタゴタしている間に、伝染病が全農場を覆い尽くすスピードのほうが速いかも知れません。大規模農場では平時と有事、それぞれに対応できるような組織編制を検討したほうが効率的に思えます。

 

黒木