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養豚産業の歪みはどこにあるか

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

年の初めなので、ここ最近の業界の流れを自分の視点で記します。

 

投資用語でアービトラージ裁定取引)という専門用語があります。これは、たとえばAという株式が不当に安く取引されているときに、安く買って、値段が高くなった時に高く売るような取引を指します。本来、市場でAという株式は適正価格で取引されるはずですが、不当に高い、あるいは不当に安い値段がついていることがあります。この歪みをつくことで、安く買って高く売るという取引が可能になります。端的にいえばこれが儲けるコツであり、世界一の金持ちの一人であるアメリカのウォーレンバフェットが実施している投資法です。株であれ、不動産であれ、この「安く買って、高く売る」という真理は共通でしょう。最近でいえば、セドリといわれる行為もつまりこのことです。

 

ではこの業界の歪みはどこにあるでしょうか。ここ最近は、多産系の種豚の導入がトレンドです。年間離乳頭数が20頭+のところに、年30頭を超える離乳を行えるので、これは既存の養豚業にとって脅威です。逆に、多産系を導入した側からみれば、年30頭離乳できるのに、年20頭しか離乳できていない日本の養豚産業の歪みをついた戦略といえます。技術革新による歪みです。

 

少子高齢化という観点からみたらどうでしょう。かつて1万戸以上あった養豚農家は、現在5,000戸をきっています。しかし、母豚頭数は約90万頭と、この数十年間ほとんど変化がありません。後継者がおらず廃業していく農家をよそに、規模拡大をはかる農家や企業があるのです。これも、国産豚肉が要望されているのに、供給しきれていない歪みをついているといえるでしょう。以前このブログに書きましたが、企業養豚にばかり規模拡大をさせずに、志ある企業家が、廃業先の養豚場を買い取り、養豚業を続けていくのも、国産豚肉の需要と供給の歪みをつく戦略です。

 

ほかにもさまざまな歪みがあるでしょう。どこに歪みがあるのか、それはどこに商機があるのかという問いと同義です。人と同じことをやっていれば、人と同じ結果しかでません。人と異なる行動をすることで、人と異なる結果を手にします。しかし、単なる差別化では成功を保証されません。市場に放置された歪みを人より早くみつけ、解消すること、これを今年改めて心がけたいと思います。

 

黒木