読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

仕事の辞め方

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

芸能人の清水富美加さんが事務所を出家引退するというニュースが出ていました。事務所の契約が残っていることや、近日公開の映画やテレビ、CMなどへの影響もあり、批判する人も多いようです。

 

法治国家である日本では、職業選択の自由があり、辞めるのは自由です。そうでなければ、奴隷国家でしょう。したがって、辞職は自由です。特に今回懸念されるのは、清水富美加さん自身が精神的に不安になり、辞めたいという強い思いがあったという点です。本人が追い詰められているといっているのであれば、その思いは尊重するべきでしょう。たとえば電通の社員が自殺した時には、世間では、自分の命を危険にさらしてまで働くことはない、さっさとやめてしまえという論調でした。あるいは、学校のいじめが原因で登校したくない子供には、登校しなくていいと、やさしい言葉をかけます。それなのに、清水さんには厳しい視線が送られます。

 

今回のケースでは、出家と引退が結びついていますが、本来これは別物です。仕事に不満がなく、急に出家引退したのであれば、迷惑をかけるなといわれるのも当然かもしれません。しかし、今回は、彼女自身が精神的な危機を感じ、引退を考えているところに、出家が重なった状態です。仮に、彼女が追い詰められて、自殺でもした場合、世論はどのようになるのでしょうか。事務所が悪いとなるのでしょうか。それよりなにより、自身の身の安全を優先させるべきだと考えます。

 

組織というのは多かれ少なかれ、迷惑をかけたりかけられたりして支えあっている有機物だと思います。引退の前に、もっと会社と率直に話し合う場がなかったか、そういう議論はあってしかるべきでしょう。しかし、すべてをクリアにしてから辞めるべきという議論はあてはまらない気がします。日常の判断能力がある状態では、理性で考えられますが、判断能力が鈍っている場合、クリアにすべきステップがとれないものです。遠慮なく逃げるべきでしょう。

 

翻って、会社や養豚場という組織から見た場合、辞めたいというスタッフに対して、もっと率直に話し合う機会はとれなかったか、当人の精神状態をもっとケアできなかったか、反省すべき点もあるかもしれません。

 

清水さんが宗教団体に出家した点を問題視する人もいますが、仮にユニオンに相談していたらどうでしょう。また違った展開になるのでしょう。労働待遇に不満があれば、まず会社と話し合い、次にユニオンに相談するなどのステップが通常です。しかし、そのステップがとれないほど衰弱していたのかもしれません。

 

引退後すぐに暴露本が出版されたことから、炎上商法でないかという人もいますが、ここでの議論とは関係ありません。本人が追い込まれたと感じる限り、またそれを表明するかぎり、保護されるべきでしょう。それを仮に利用する人がいたとしても、それは別の問題です。

 

この件がどのように展開するのか不明です。違約金の問題などが発生するのも当然かもしれません。しかし、人の命より優先されるものことが、世の中にあるとは思えません。

 

黒木