豚価上昇の波に乗るには

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場の多くは相対取引を行っており、市場に出すほうが少数派かもしれません。相対取引では常に一定の価格で取引できるので、生産者側と購入側との間で安定した取引を可能にします。その反面、豚価が上昇しても、その恩恵にタイミングよく預かることは難しいでしょう。また、市場での豚価は相対取引のレートに影響を与えます。業界関係者は、豚価に常に気を配っているでしょう。

 

では豚価はどのような要因で上昇するのでしょうか。原因の特定というのは非常に難しいものですし、たいていはさまざまな要因が相まって決まるのでしょう。しかし、大きな傾向はあります。まず基本的なことですが、と畜頭数が減れば、豚価は上昇します。ではどのようなときに屠畜頭数は減るのか。

 

この2~30年の豚価の動きをみると、上昇要因は大きく分けて2つあります。

 

  1. BSEなど、豚肉相場以外の外部要因
  2. PEDやPCV2、口蹄疫などの疾病による生産減

 

2つのうち、①の外部要因は、生産者がコントロールすることができないでしょう。生産者にできることは②の疾病対策に注力することです。疾病対策を徹底できれば、屠畜頭数が減った場合でも、儲けることができる。。

 

薬でコントロールできる疾病は差を生みません。たとえばサーコワクチンの使用により、農場でサーコをコントロールできるようになりました。今後、この疾病が豚価に影響を与えることはあまりないかもしれません。しかし、PEDのように有効な手段が限られている場合、この疾病をコントロールできるか、できないかは豚価に大きな影響を与えます。

 

他の生産者が生産減に陥っている時に、定時定量出荷できることこそ、豚価の波に乗ることです。薬に頼れない疾病をコントロールできる生産者が、強い生産者といえるかもしれません。

 

 

黒木

薬屋の仕事

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場に出入りする営業の人たちは、普段どのような仕事をしているか、疑問に思ったことはないでしょうか。養豚場では基本肉体労働の作業の対価として、給与が支払われます。それに対し、営業マンは時々きては、茶飲み話をしたり、仕事の話をしたり、しなかったり。。彼らは客と会っている時以外はどのようなことをしているのでしょうか。

 

たとえば薬屋の仕事を例にとると、営業の仕事とは、顧客の課題解決に役立つ情報を提供し、薬というツールを紹介します。これが仕事の中心です。しかし、これ以外にもさまざまな仕事があります。顧客からの要望などを会社に伝えるのも重要な仕事です。このような講師の講演を聞きたい、もっと薬の瓶を改良できないかなど。担当地域の営業だけでなく、マーケティング活動も行っています。

 

仕事の半分は純粋な営業活動ですが、それ以外の内勤業務もあります。具体的には、顧客との面談時の資料用意、勉強会の準備、社内へのテリトリーレポート作成などなど。もちろん、最新情報や海外の情報などを常にインプットするように自習も求められます。

 

これらは平時の業務ですが、これ以外で重要なのが、非常時の対応です。薬の副作用が出た場合、報告・届出の義務があります。このときばかりは、通常の業務を放り出してでも、急ぎ駆けつけ対応し、状況をレポートする必要があります。たまに、営業マンが面談の延期を求めてきた場合、もしかしらこういう活動をしているのかもしれません。

 

また、欠品などがあった場合は、頭を下げに回ることも仕事です。もっとも心苦しい仕事の一つでしょう。

 

営業は花形のように見えるかもしれませんが、案外地味なものです。このような人たちが、養豚産業に関わっています。

 

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信用出来るセールスマンの見分け方

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

信用できる営業マンとそうでない営業がいます。にこやかにしていても、客先を離れたら、売り上げのことしか頭にない営業もいます。にこやかにもっともらしいことを言いながら、客先を離れると「早くクロージングをかけろ(買ってもらうこと)」という上司もいます。

 

どの営業から買っても製品は製品ですが、できれば気持ちよく取引したいものです。信用できる営業マンは、自社のいい情報だけでなく、悪い情報も提供してくれます。場合によっては他社の製品を勧める場合すらあります。しかし、中には、意図的にこのような手法にでてくる営業もいるので、注意が必要です。自社の製品でなく、他社の製品を推奨することで、顧客の信用を得ようというものです。

 

ではどのような営業が信用できるのでしょうか。一言でいえば、客が理解できるように説明してくれる営業を私は信用します。器材にしろ、薬にしろ、営業マンの説明が要領を得ないことがあります。よくわからないので、人間性を信用して購入するのですが、これは感心しません。なぜなら、人間性を信用するためには、理解できる説明が前提だからです。説明を理解できないので、人間性を信用して買うというのは本末転倒です。

 

たとえば、一般に保険商品というのは複雑なものだと思われており、そのため、営業マンを信用して取引するケースも多いかと思います。しかし、これは危険な行為だと思います。説明が理解できなければ、理解できるまで説明させるべきだし、理解できない説明をする営業マンというのは、たいていの場合、自分自身の頭が整理されていないものです。このような1流でない営業マンと取引すると、いざというときにトラブルになる可能性があります。自分が理解できないものを売るセールスマンとはかかわらないほうがいいでしょう。

 

自分が理解できないのを棚に上げ、理解できない顧客側に問題があるかのようにふるまうセールスもいます。すぐに、お引き取り願うべきでしょう。

 

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決断力の鍛え方

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

決断力のある人、ない人ということが言われます。実際、決断のスピードが早い人というのはいます。決断力がないよりはあるほうがいろいろな局面で有利かもしれません。では、決断力というのは鍛えられるものでしょうか。

 

決断の早い人というのは、単に、決断のルールを決めている人だという人がいます。たとえば、迷ったら、最初に直感で選んだ方にする、など。大したルールでなくとも、マイルールが決まっていれば簡単に決断できます。また、なかなか決めれれなければ、3日間決断を先延ばしにする、というのも決断です。

 

片づけの世界でいう断捨離などという言葉はまさにこの決断力のトレーニング方法のことだと思われます。捨てるか、残すか、保留するか、とはつまり、イエスかノーか、それ以外の3択なので、これはまさにマイルールです。これなら簡単に決断できます。

 

決断力とは、決断するルールを決めることに帰結するので、実はそんなに難しい話ではないと思います。はたから見ると、決断力のある人というのは頼もしく映るかもしれませんが、単にマイルールに則って仕訳しているだけかもしれません。

 

決断力は鍛えることができると思っています。

 

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ベストパフォーマンスはベストチームから

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

青山学院大学は駅伝で史上初の3連覇を成し遂げています。原監督の指導が素晴らしいのですが、彼の何が優れているのか、そのことは養豚業ではどのように生かすことができるでしょうか。

 

そもそも大学生の運動能力に大きな差はないようです。陸上でいうウサインボルトのようなスーパースターが何人もいる世界ではないでしょう。よくも悪くも同じレベルの資質の選手達。だからこそ青学以前では3連覇できた大学はなく、それゆえ誰が勝ってもおかしくないから、駅伝があんなに盛り上がるのでしょう。

 

こういう状況下で、原監督は企業での管理方法を学生に活用し、成功したといわれています。いろいろな指導があるようですが、根本にあるのは精神論だと思います。運動能力が同じなら、精神力で上回ったほうが勝つ、ということでしょう。そのため、学生とさまざまな話をして、心の向上に努める。その結果、学生との間に信頼関係ができて、勝負に勝てる人材になっていく。

 

養豚産業における人材も、スーパースターがごろごろいるわけではないでしょう。条件は同じです。であれば、経営陣とスタッフの間の信頼関係が案外重要な成功要因になるように感じます。もちろん、経営のうまい下手はあるでしょう。多産系の導入やらリキッドフィーディングの活用などもパフォーマンスに大きく影響を与えます。しかし、最後の決め手は精神論なのかもしれません。場長とスタッフの間や、スタッフ間での信頼関係が確立されていれば、ベストパフォーマンスを生み出せます。

 

ベストパフォーマンスはベストチームから生まれる、そう思います。

 

 

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預託で儲かる人

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場の一貫経営をやめ、預託経営に切り替える経営者がいます。それまでの繁殖舎+離乳舎+肥育舎の3ステージをやめ、外部から子豚を導入して肥育のみ担当することです。大手農場などから子豚を導入して、肥育のみを担当するので、一貫経営のときにある分娩率の上下や疾病リスクなどのさまざまなリスクをある程度コントロールできるのがメリットです。その代り、収益はそこまで上がらないでしょう。

 

一貫経営がうまくいかないため、預託に切り替えるパターンが多いかもしれませんが、簡単ではなさそうです。預託で成功する人とそうでない人ははっきりしているとの見解を持っている人もいます。預託で成功する人は、、一貫経営で成功していた人だとの見方です。豚の飼育スペースをしっかり取り、ゆったり飼うような預託農家は、預託先として成功します。逆に、ぎゅうぎゅうに豚を飼い、収入を得ようとするようなやり方では、肺炎なども多発し、うまくいかないこともあるようです。

 

お金に余裕があれば、豚の飼育にも余裕ができます。お金に余裕がなければ、余裕をもって豚を飼うこともできません。預託に切り替えるのであれば、ゆったりと豚を飼育する環境を心がけることが重要なようです。

 

 

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クレームの上手な入れ方

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚場にはさまざまな業者が出入りしています。飼料会社や、種豚会社、器材会社、薬剤メーカーなどなど。関連産業を含めると、それなりの規模の業界です。

 

業者と付き合う中で、不満や怒りを感じることもあるでしょう。明らかに不手際の場合もあればグレーゾーンのこともあります。言いがかりの場合すらあるかもしれません。いずれにせよ養豚場は客という立場であり、出入り業者にクレームを出せる立場にあります。

 

世の中にはクレームを上手に入れられる人とそうでない人がいるようです。これは養豚業に限らないでしょうが、クレームを入れるのが上手な人というのは、コミュニケーション上手です。たとえばこのような人が場長であれば、働きやすい職場になるでしょう。

 

クレームが上手な人は、非常に速い段階で(あるいはその場で)、何が不満でどうして欲しいのか、具体的に伝えてきます。感情を抑え、真剣な表情で伝えることも重要です。感情をぶつけ、怒鳴り散らすことは相手に恐怖感と反発を与えるものです。クレームの怖いところは、クレームの解消が目的のはずなのに、自身の感情をぶつけることにすり替わりがちだという点です。

 

また、担当者に直接伝えることも、当たり前ですが大切です。担当者の上司と面識がある、あるいは仲がいいという理由で、担当者を通り越して、その上司にクレームを入れる行為は、担当者のメンツをつぶす行為になります。まずは担当者に直接伝え、それでも改善しなければ、その上司に伝えることが組織人としてのたしなみでしょう。相手の立場を考え、クレームを伝えることは、結果として、クレームの解消に役立ちます。

 

クレームを入れることは必ずしも悪ではありません。雨降って地固まるという言葉もありますが、クレームを通じて、関係が強化されることもあるでしょう。しかし、これはなかなか難しいことです。そもそもコミュニケーションがうまくとれていないから、クレームが発生するわけですから。

 

クレームは適切に伝え、相手との関係改善をはかる手段として理解しておきたいものです。

 

 

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