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スケールメリットとリスクヘッジ

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

国内の養豚戸数は5,000戸を割り、他方、規模拡大を目指す農場もあります。大規模農場化を目指す経営者はレバレッジを大いにかけて、スケールメリットを活用することでしょう。大規模農場であれば、飼料や器材、薬品など各種取引業者にコストダウンの交渉をすることも可能でしょう。屠場も、大規模農場に対して、モミ手でやってくるかもしれません。

 

レバレッジとはてこの原理のことです。仮に豚価が高い場合、規模を拡大すればするほど、儲かる額が増えます。スケールメリットが生まれることから、利益率も改善される可能性が高いでしょう。では、規模拡大した農場によってこの業界は独占される日が来るのでしょうか。

 

私は必ずしもそう考えていません。特に、この数年のPEDの流行を見たとき、必ずしも大規模農場が有利であるとは限らないとの思いを強くしています。大規模農場では、オールアウトできない場合連続飼育になり、疾病の環を断ち切ることができません。結果、いつまでもPEDが足を引っ張ることになります。大規模農場は、プラスの方向に作用すれば強いですが、マイナスの方向に振れると弱い部分があるように思います。具体的には、PEDやPRRSのようなやっかいな疾病が侵入て、オールアウトがしにくい場合、中小規模農場よりも対策が難しいという点です。

 

スケールメリットを享受しつつ、リスクを最小限に抑える方法があれば、大規模農場は最強になります。その方法はマルチサイトの確立だと考えています。マルチサイトとは何より守りの布陣です。母豚3,000頭の一貫農場と、母豚3,000頭のマルチサイト農場(娩舎、離乳舎、肥育舎の3サイトなど)では、月の出荷頭数はざっくり6,000頭程度で変わらないでしょう。しかし、ひとたび疾病が侵入した場合、一貫農場では疾病の環を断ち切ることが難しいのに対し、マルチサイトでは、疾病の循環を断ち切りやすいのです。

 

守りに強いとは、他の農家が出荷数を減らしている時に出荷できるということであり、相場に勝てるということを意味します。バブルの時のように、儲かっているときは誰でも儲かります。しかし、皆が儲けづらい時に儲けを出すことこそ、今後の相場で勝っていく秘訣だと思います。

 

大規模農場が本気でマルチサイトを目指してきたとき、大規模農場による寡占が進むかもしれません。

 

黒木