人材の募集

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

養豚業界は人材の募集に苦労する業界でしょう。いわゆる3K職場としてとらえられることも多く、もともと人材募集は難しいことの一つです。他業種より1割、2割高い給与で募集して、なんとか応募者がでてくる、といったところでしょう。

 

この状況は昨今ますますきびしくなっているようです。地域によっては、コンビニでさえ時給1,000円以上もある時代で、1,200円程度では応募もさっぱり、などということも聞かれます。ではどのようにすれば、応募者を増やせるでしょうか。

 

この問題について、私は多少楽観視しているところがあります。対策をざっと挙げれば、

 

・他業界に比べて高い時給をアピール

・残業がほとんどないことをアピール

・快適で清潔な事務所づくり(冷暖房完備)

・女性が働きやすい環境づくり(女性専用更衣室・シャワー室、ウォッシュレットトイレ完備)

・福利厚生の充実(結婚相談所登録費用の負担、婚活パーティ参加費用負担など)

 

他にもいろいろあると思いますが、基本は①高い給与、②快適で清潔な職場環境、それと③手厚い福利厚生の3点セットです。①はそのままです。他業種より2割程度高い給与を出すことで、優位さを示せます。いい人材にはお金をしっかりかけるべきです。

 

②の快適で清潔な職場環境は、この業界の大きな課題です。3Kが当たり前の職場、という認識を経営陣側が持っていてはダメでしょう。トヨタよりも清潔で快適な環境にすれば、まず女性従業員の応募が増えるでしょう。設備の改修費用のお金はかかります。しかし、ここはしっかりお金をかけるべきです。アパートも今やウオッシュレットは当たり前の時代。豚舎を新しくする前に、事務所を新しくしたほうがいいのではないでしょうか。豚がいなければ養豚場は成立しませんが、従業員がいなければ、養豚場の経営は成立しません。

 

③の福利厚生が最も重要な点です。世に一流企業といわれている会社が他の会社と何が違うかといえば、この福利厚生の部分が大きいように思います。寮の費用を会社が負担する、食堂で格安で昼食がとれる、各種手当が充実している、などなど。しかし、養豚場の経営者が同じようなことをすべきかといえば、そうは思いません。むしろ、他の業界がしていなこと、たとえば「結婚できる養豚場」のような付加価値のほうがキラーコンテンツになりそうです。婚活パーティの参加費用を養豚場が負担する、そこまで会社がしなければいけないのかと思う経営者もいるでしょう。しかし、昔のように誰かが見合いの話を持ってくる時代ではありません。仲人も絶滅危惧種でしょう。結婚という事業は、個人と企業が戦略的に取り組むべき事業になってきたように思います。

 

経営者は、ベンツを買う余裕があれば、事務所のリフォームと福利厚生の充実にお金を使うべきではないでしょうか。トヨタの工場の求人と比べてそん色ない業界、そのような養豚場の出現に期待します。

 

黒木