養豚場の経営者になってみる

養豚関連産業に従事している黒木です。

 

農家戸数が減り続けています。総戸数は5,000をきっており、今後ますます減るでしょう。小規模農家は減り、他方、拡大意欲のある農場による大規模化が増える。国内の総母豚数は90万頭ほどで変わらず、、といった流れは変わらないようです。

 

経営難のため養豚場を手放すという方もいるでしょうが、主に経営者の高齢化や後継者問題によるものが多そうです。やる気はあっても体が追い付かない、後継者不在のため廃業する、そういったケースをよく聞きます。家族経営や小規模農家の場合、売りに出そうにもなかなか買い手がつかないケースもあるでしょう。ボロボロの豚舎である、設備は古いものの買い直すタイミングでない、など。

 

意欲のある養豚場従業員が養豚場を経営したいと思った場合、このような養豚場を買い取って、経営に乗り出すのはありかもしれません。というのも、この業界、新規参入はかなり難しい。糞尿処理や近所対策など、いろいろな課題を考えると、まず新規参入が難しい業界です。その一方で、養豚場の経営はビジネスモデルとしてはある程度確立されている業界でもあります。豚を大きくして、出荷してお金を得る、豚価が下がっても各種補助金制度もある。。真面目にやっていれば大きくくいっぱぐれる可能性は比較的低いでしょう。しかし、参入障壁が高い。。

 

意欲があり能力がある従業員といえども、出世しても場長どまり。従業員がオーナーになる可能性はまずないでしょう。サラリーマンはリスクが低いといわれますが、会社都合で解雇されるケースもあるなど、必ずしもリスクが低いとも思えません。ある程度確立されたビジネスモデルを持つ業界の経営者として、思い切って参入するのもありだと思います。サラリーマンを続けているのと、経営者になるのと、どちらのリスクが高いでしょうか。養豚場の経営には当然いろいろなリスクがありますが、補助金などさまざまなリスクヘッジの手段があります。また資金繰りなど各種金融機関からのサポートもあります。それに比べ、サラリーマンのリスクヘッジの手段は、実はそんなに多くないように思います。

 

養豚場を手放す側からしても、自分の農場を引き継いでくれる人が出てくれば、嬉しいのではないでしょうか。経営者になってベンツに乗る、それもいいでしょう。従業員目線からは見れなかった別の風景が開けるような気がします。

 

黒木